私は、中小企業診断士として独立し14年目となり、800社を超える中小企業のコンサルティング実績を重ねて参りました。中小企業のニーズは多様であり、ISO9001の取得支援や経営革新計画の策定、中堅社員のリーダーシップ教育、ものづくり補助金の獲得支援等多岐にわたる支援を実践しております。その中でも、社員参画型経営を志向する経営者様が増え、80社を超える支援数となり、主力メニューの一つとなっております。それでは、社員参画型経営についてご紹介してまいりましょう。

1.社員参画型経営とは

私は、社員参画型経営を次のように定義しています。
社員参画型経営とは、「社員ひとりひとりが、経営参画意識をもち、社長の示す経営戦略を実現するために具体的な目標を掲げて取り組む経営スタイル」としています。経営者が考えるビジョンや戦略をわかりやすく丁寧に伝達することからスタートし、経営者のビジョン、戦略実現のために各部門のアクションプランを立案し、実行していく流れを作っていくのです。

2.社員の経営参画度を評価してみましょう

社員参画型経営の導入の前に、下記のチェックリストを使い、自社の社員経営参画度を評価してみましょう。改善強化すべき課題が見えてくるはずです。

【社員参画型経営チェックリスト】
以下の各項目を5段階評価し、50点満点での獲得点数を計算してください。40点以上であればすでに、社員参画型経営がある程度のレベルに達していると判断してください。30点以下であればさらなるブラッシュアップが必要となります。

3.社員参画型経営の導入ステップ
それでは、社員参画型経営の導入を検討さている企業様に導入のステップをご紹介致しましょう。

STEP1:現状把握
上記チェッリストや幹部による意見交換を行い、組織の状況を把握しましょう。

STEP2:SWOT分析
企業が戦略を考える場合に、最も大切なことは自社の環境を正しく理解することです。具体的には自社の内部環境の強み(Strength)と弱み(Weakness)を捉えます。また、自社を取り巻く外部環境の機会(Oportunity)と脅威(Threat)を整理します。これにより環境要因を吟味し、経営資源と市場のバランスから自社の強みを生かした戦略を検討することとなります。環境分析結果を因として、その結果としての戦略が、論理性と客観性をもつものとなります。十分に時間をかけて分析を行うことが重要です。

STEP3:経営戦略立案と伝達
SWOT分析結果を踏まえ、幹部社員が意見交換しながら、「経営戦略」を策定し、部門長クラスに丁寧な説明を行いましょう。
   
STEP4:部門目標の設定
部門長が中心となり、部門メンバーともに「経営戦略」実現のために何に取り組むべきかを明確化し、アクションプランに展開します。
   
STEP5:経営戦略発表会の開催
全社員が集まり、社長から経営戦略の表明を行い、しっかりとベクトルを合わせましょう。社員の皆さんは、方向性が見えればそれに貢献しようというモチベーションが生まれてきます。次に、部門長から部門目標の発表を行い、全社員参加の意識を高めていきましょう。終了後は、懇親会等で胸襟を開いた情報交換の場があればなおよいでしょう。

STEP6:部門目標の進捗管理
月次ミーティングを行い、各部門目標の進捗を確認していきます。PDCAサイクルを回し、問題があれば修正を行い、改善のアクションを続けていきましょう。

STEP7:中間成果発表会の開催
年間を通じた活動が中だるみせぬよう、全員参加の中間成果発表会を開催し、他部門の進捗状況を確認し合います。これにより、気づきを得て、自部門の取り組みの活性化につなげていきましょう。
   
STEP8:最終成果発表会
1年の締めくくりとして最終成果発表を行います。社長から今期の最終実績報告、主要顧客の動向、来期に向けた課題等をしっかりと伝達しましょう。また、各部門目標の最終成果を発表し、優秀部門の表彰を行い、全員で成果を分ちあいます。
      
このような社員参画型経営を導入し、成果を上げる中小企業が増えています。この取り組みを確実に継続することで、確実な業績アップにつなげて参りましょう。

尾又啓介