皆さまの「企業・商品・サービス」は、ライバル他社と比較して差別化できていますか?

昔は、画期的な製品を開発できれば、また他にないサービスを生み出せれば比較的差別化ができました。しかし、今は新たなアイデアが出づらく、なかなか革新的な商品・サービスが生まれづらい時代です。そのため、経済産業省では企業に対し、新たな差別化戦略として「デザインによる付加価値向上」を推進しています。
海外では、デザインを活用して付加価値向上に成功している企業があります。その代表例がアップルです。意外と思われますが、アップルは20年ほど前、重度の経営危機に陥っていました。しかし、デザインを重視したiMacがヒットし、(もちろん、他の要因もたくさんありますが)経営が回復しました。その後、iPhone、iPad、Mac Book、Apple Watchなど、優れた製品デザインを生み出したのはご存じの通りです(もちろん、機能やビジネスモデルもすごいですよ)。
また、CM、Webサイトなどの広告媒体、商品パッケージ、アップルストア(店舗)など、デザイン的に統一感を持たせたイメージ戦略も見事で、その結果、アップルの企業価値を世界トップクラスに引き上げました。

日本企業は、海外と比較してデザイン活用の取り組みが遅れている状況です。しかし、最近はデザイン戦略を強化し、成果を出している企業が増えております。デザインの重要性が解った企業は、いち早く経営向上のチャンスを得ているのかもしれません。

前置きが長くなりましたが、今回のお話しではデザインを活用して企業・商品・サービスの付加価値向上を行うために、どうすれば良いのかについてポイントをお伝えします。

【コンセプトを考えましょう】
ターゲット層に対して視覚的に的確なイメージを与えるためには、見た目の良さだけでなく根本的な部分を考えることが重要です。それが、「コンセプト」です。例えば、経営戦略を考える際、「誰に対して」「何を」「どのように提供する」を設定しますが、デザインも同じです。
また、企業をアピールするWEBサイトやチラシでしたら、経営理念やビジョンも考慮して、デザインを考えると良いでしょう。

【イメージカラーを決めましょう】
色には意味があります。「青」は「冷静」「知的」、「赤」は「情熱」「活気」、「黒」は「高級」「上質」といった感じです。コンセプトを元にイメージカラーを決めると良いでしょう。

【ロゴを作りましょう】
企業をイメージさせるロゴも、コンセプトを考慮し作成しましょう。直感で企業のイメージが伝わるデザインが良いです。ロゴは名刺にも掲載するため、小さくしても、ゴチャッとならないデザインにすることが重要です。

【デザインを考えましょう】
理屈っぽく考えると、見た目つまらないデザインになってしまいます。逆に、コンセプトを考慮せず何となく制作すると、見る側に響かないデザインになってしまいます。
私の持論ですが、「理屈と見た目が融合したデザイン」が、ベストであると考えております。
制作者や決定権者の好みでデザインを考えると、失敗しやすくなります。あくまで、判断する人は顧客(ターゲット層)です。作成したら、仲の良い顧客やターゲット層に近いお知り合いに、デザインを見せて意見をもらいましょう。「このデザインにした理由は、カッコイイから」という決め方は避けましょう。大切なのは「ターゲット層に受けるデザインにする」という気持ちを持つことです。
紙媒体、WEBサイト、看板、店舗などのデザインに統一感を持たせると良いです。見る側に「企業・商品・サービス」のイメージを連動させて記憶に植え付けさせることができるからです。これを「視覚の統一」と言います。また、各媒体にロゴを載せておくことも、視覚の統一の一環になります。

【外部デザイナーに依頼する時には?】
デザイナーに、依頼内容や「企業・商品・サービス」に関する様々な情報を明確に伝えましょう。デザイナーがイメージしやすくなります。お互いの意思疎通が図れ、スムーズに完成に向かうことができます。
コミュニケーション能力が高いデザイナーに依頼しましょう。貴社の意向を汲み取ってくれ、対応力が早いなどのデザイナーが良いです。また、貴社の成功のために制作を行う気持ちが強いデザイナーに依頼しましょう。
必ず契約書を結びましょう。納期や料金などを明確にしておくことにより、お互い良い意味で緊張感を持った仕事ができます。もちろん、トラブル防止にもなります。

日本の企業はデザイン活用の取り組みが遅れている状況です。であれば、ライバル他社に先駆けて取り組めば、ビジネスチャンスに繋がりやすくなるのではないでしょうか? デザインを有効活用して、「企業・商品・サービス」の価値を向上させましょう!!

安藤昌明