新年度が始まり早1か月、この4月に入った新入社員もそろそろ職場に慣れ始めてきたころだと思います。人手不足という言葉を聞くようになって久しくなり、貴重な戦力の彼ら・彼女たちには頑張ってもらいたいものです。
一方、下図に示すように、経営上の問題点として、「求人難」を挙げる割合がここ数年の間ますます高くなっています。
わが国の少子高齢化による労働人口の減少という状況を踏まえ、女性、高齢者、外国人、障がい者など、多様な人材の活用、いわゆる「ダイバーシティ(直訳すると『多用性』)」への取組みは、小さな企業から大企業まで避けられなくなっています。
しかしながら、現実には、ダイバーシティに取り組もうとすると、産休など女性の労働環境の整備、高齢者と若年者のモチベーションの両立、外国人の異なる価値観の受容など、人員数など経営資源の限られた中小企業では高いハードルもあります。
いきなり、「うちも、今日からダイバーシティだ」と掲げるのではなく、今の組織を変えずに、「少しずつダイバーシティ」を始めることを、筆者の経験からおすすめ致します。
御社にも女性や若い従業員がいらっしゃると存じますが、彼ら・彼女たちが活発に自分の考えを述べることができる雰囲気・風土があるでしょうか。もし「彼女はパートだから」とか「あいつは経験が無いから」という言葉が思い浮かんだらそこから考え方を変えるのが「少しずつ・・・」のはじめの一歩です。特に、職場改善や新商品などのアイデア出しの会議では、経験に基づいた意見やアイデアではどうしてもありきたりなアウトプットになりがちです。(多数決でなく)一人の意見や少々突拍子な意見にもまずは耳を傾ける、そしてなぜそのような意見・考えを持つに至ったかを(前向きに)聞き出すと必ず「共感」できる部分を見出すことができるはずです。
例えば、ある女性従業員が「保育園の送迎ができないのでここでは働けません」と言ったとしましょう。その女性に対して「あなたの仕事は毎日の売上の集計。売上報告は17時迄が社内規則。だから保育園の送迎に行くのはムリ。」と即決するのでなく、「保育園の送迎ができればいいのですか?それでは夕方は在宅勤務いただき、売上集計をすることは可能ですか?」と先ずは「共感」した上で解決の糸口につなげられないでしょうか。
この「共感」できるか否かが、ダイバーシティを推進できるか否かを左右する重要な要素でないかと筆者は考えます。人は誰でも年を重ねるとともに頑固になりがちで「共感」しにくくなるのですが、心がけ次第でなんとかなるとも思うのです。会議に前もって「今日はダメと言わない。ぐっと我慢して、まずは耳を傾ける」と心がけるのもその一つです。
まずは、日々生活を共にしている奥様と「共感」をできるように努力するのもいい「訓練」になると思いますがいかがでしょうか。
西垣聡