今年の夏も終えようとするころ、本年も当会副理事長の日向氏とともに、恒例の「青春18きっぷ」を使い北陸地方を回ってきました。

【金沢へ】
先ず東京~金沢は北陸新幹線を利用。7時20分発車両に人影はまばらでほぼ貸し切り状態。終点の金沢に9時過ぎに到着するが最後まで同様だった。

[出発点の金沢駅]

【初日は能登半島】
初日の目的は、能登半島をグルっと回る行程。立ち寄る場所に行くには自動車を使うしかないため、レンタカーを利用。「のと里山海道」で目的地を目指して金沢を出発。「のと里山海道」はかつて有料道路だったが、今は無料となっている高速道路規格の快適なみちである。
能登半島を北上し、輪島市の世界農業遺産に登録されまた棚田百選の一つ「白米千枚田」へ。海に面した急斜面に数えきれないほどの棚田があり、中には安部昭恵、小泉純一郎、進次郎の田んぼもありバラエテイ豊かなオーナーが名を連ねていた。

千枚田を南下し能登金剛という荒々しい海岸線伝いに車を走らせると、能登金剛の中でも有名な断崖絶壁の「巌門」に寄る。浸食によってぽっかりと大きな穴があちこちに空き、岩の下を通り抜けその迫力を体感できる。
松本清張の『ゼロの焦点』の舞台になったという石碑が置かれている。

[千枚田と巌門の途中にある曹洞宗大本山總持寺山門]

能登半島の最後は、日本で唯一車で走れる砂浜「千里浜なぎさドライブウエイ」。残念ながら、到着したのは夕陽には少し早い時間帯であった。

【ローカル線の旅】
金沢で一泊。2日目、日向氏は5時過ぎの始発で福井方面、焼きサバを食べに小浜へ。こちらは、レンタサイクルで金沢市内を回る。その後、「IRいしかわ鉄道」で高岡。高岡から、「JR氷見線」に乗り換え雨晴海岸へ。列車は、ディーゼルの2両編成で、朝夕を除き2時間に1本しかない。
雨晴海岸は富山湾越しに立山連峰を見る絶景で有名だがこの季節ではやはり無理だった。
この日は、帰路も「JR氷見線」を使って高岡へ戻り、「あいの風とやま鉄道」へ乗り換え、宿泊地の富山へ行く。日向氏も若狭方面から4時間の乗車で富山へ。

[上:ホームの看板。立山連峰を望める 下:当日の景色。雲に隠れて山は見えず]

【世界遺産へ】
3日目は、またレンタカーで世界遺産の五箇山(富山県)と白川郷(岐阜県)へ。両方とも富山から高速で行けるが、景色を楽しむために一般道を使う。
富山市からチューリップで有名な砺波市へ向かい、そこから岐阜方面へ庄川沿いに山道に入る。
途中、川をせき止めたダムが何か所かあり遊覧船の案内が見られる。また、ダムのために水没し高所へ移転させられたらしい集落も点在。
出発して2時間弱で五箇山の最初の集落である、「相倉合掌つくり集落」に到着。案内に従い全景が見渡せるスポットとなる場所へ5分間ほどの山道を登る。
[五箇山]

五箇山から30分ほど走ると岐阜県側の合掌つくり集落となる白川郷へ入る。何れも駐車料金500円が必要となる。規模は、白川郷の方が圧倒的に大きいが、ほぼテーマパーク状態で殆どが物販や宿泊施設となっており五箇山と比較すると素朴感に乏しい。
[白川郷]

五箇山へは50年ほど前、高岡から徒歩で山を越えて入り雪の降り積もる中テントを張りで滞在したことがあるが、まだ観光地となる前だったのか秘境の趣があった気がする。現在は交通事情も良くなり、遠目では一見昔のままに見えたが、集落の中に入ると目につく多くが商業施設となり時代の流れを感じさせられた。
秘境というにはほど遠い二つの合掌集落群を後に富山まで戻り、新幹線で帰路につく。往きと同じく、車両には我々のほかにほとんど乗客もないまま2時間ほどで東京着。

交通機関に限らず、各観光地もガラガラの状態で経済へのインパクトの大きさを改めて実感する旅でした。

文・写真:首藤 潤治