私は中小企業診断士業の傍ら、ある生活協同組合の理事と目の不自由な人の外出誘導をするボランティア団体の役員をしています。この生協の理事会とボランティア団体の構成員のほとんどが女性です。トップはいずれも女性です。女性活躍推進法が制定され、政府も積極的に女性活躍・社会進出を提唱する時代なので、宜なるかなと思いますが、初めて理事会や会合に出たとき、沢山の女性の視線を一身に浴びて、男として「おーっ」と恐怖を感じたのを覚えています。日本の今年4月での総人口が126,991千人で、そのうち女性は65,226千人、割合で51.4%です(総務省統計局暫定値)。男女で同性に投票する選挙をしたら、男の負けです。先の都知事選で小池さんが勝ち、鳥越さんも増田さんも敵わなかったのはなるほどと一人合点しています。
この女性役員さんたちと昼食をご一緒したとき、どこの店に行くかの会話があって、「牛丼屋は入りたくないね」、「大戸屋さんなら女一人でも入れるね」、結局、人数分の空席のあったイタリアン・ファミレス「サイゼリア」さんを選択しました。「入りたいのに女性一人では入りにくい店ランキング」というのがGOOランキングから出ています。1位が焼き肉屋で、居酒屋・ボウリング・立ち食いの店・ラーメン屋・牛丼屋・床屋・カラオケ・ダーツバーと続きます。人口の半数以上の人たちに入りにくいと感じさせておいて、いいのでしょうか。工夫次第でもっとお客さんを増やせるのではないでしょうか。
数年前にふらっと入ったあるイタリアンレストランのことを思い出します。お店は東京東部住宅地、地下鉄駅前広場に面する立地は良く、いかにもイタリアンレストランと一見してわかる構えの、明るい日光が差し込むお店、メニューにはオーナー兼シェフのイタリア仕込みの本格イタリアンと書いてあります。が、真昼時なのにお客さんがほとんどいないのです。女性客がいません。女性が好みそうなメニューが見当たりません。スタッフ全員が男性で、なによりも接遇も店内も「男くさい」のです。女性は一旦気に入ってくれればリピート率の高い顧客であり、強力な口コミ宣伝マン(ウーマン)です。もっと女性を意識した店づくりをすればいいのではと思いました。女性客が料理・スィーツとそして会話と雰囲気を楽しむお店、賑やかなお店作りです。最近、またその駅前広場を通りましたが、残念ながらそのお店はもうありませんでした。
自然界のルールでは、出生時の男女比は男105対女100だそうです。日本の人口統計でもそうなっています。日本で男女比が逆転するのは55才から60才の年齢層からです。厳しい競争社会の中でバタバタと倒れる男たちというエレジーでしょうか。でも、巴御前やジャンヌダルクなどの例外もありますが、女性社会のほうが世の中、平和であるという説もありますから、歓迎すべきことかもしれません。現代中国やインドでは意図的に出生前調整をしているので、女性100に対し男性が112から最大130という「男性過剰社会」になっているといいます。歴史的に「男性過剰社会」では戦争の脅威が高まると指摘する学者がいます。女性活躍社会はその意味でも歓迎すべきことなのです。
繁盛するお店作りのために女性の感性を採り入れたらいかがでしょうか。
そして、男だけの、男中心の発想には何かと問題がありそうです。
若林民雄