第3回目を迎える「厚木市の産業を考える」シリーズ。前回は厚木市の観光業について分析したが、今回は厚木市の商業について紐解いていきたい。

最近の厚木市の重大ニュースに「イトーヨーカドー」の閉店発表があげられるであろう。
41年間当地で営業してきたが、今年2月の閉店に向けて、あと1か月足らずとなり、すでに12月より閉店セールが開始されている。
全国的な総合スーパー(GMS)という業態が置かれた苦戦のほかに数年前の「ららぽーと海老名」の開業決定発表以来危惧されてきた、厚木市商業への影響が表れてきたといえるかもしれない。

ヨーカドー

【神奈川県各市における小売業の実態】
まずは、平成28年6月に発表された商業統計調査(平成26年7月1日現在)に基づき、厚木市及び神奈川県内の商業についての動きを見ていこうと思う。神奈川県の市別の小売業全体の、姿を表した数字は以下となる。(人口も本統計に合わせ平成26年1月1日現在となっている)

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人口が多ければそこでの消費額も多くなるため、概ね人口と商品販売額は比例しているといえるが、小田原市は人口に比べて販売額が大きくなっている。逆に茅ヶ崎市は、小さくなっており市外への流出が大きいことがうかがわれる。

【集客力を見る】
上記表から、各地域(横浜、川崎、相模原市については各区)の集客力を大きい順に並べてみる。集客力を把握するためには、小売業年間販売額の市区町村別構成比を市区町村別人口構成比で除した数値(購買力指数)に基づき順位付けし、前回(平成19年)調査と比較してみる。

A…購買力吸収地域(購買力指数が1.05以上の地域)
B…独立商圏地域 (購買力指数が0.95以上1.05未満の地域)
C…購買力流出地域(購買力指数が0.95未満の地域)

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平成26年時点での神奈川県内のA地域は、15位の大和市までとなっている。平成19年度A地域であった平塚市(1.07)、鎌倉市(1.07)が、B地域へ変更となった。
逆に、集客力が増加した地区は、箱根町、横浜市(都筑区)、小田原市、横浜市(保土ヶ谷区)、藤沢市、川崎市(幸区)、横浜市(戸塚区)となっている。
厚木市について言えば、今回もA地域を保っているが、前回横浜市(4区)、川崎市(1区)以外の市としては、集客力が大きかったものの、今回は順位を落とし海老名市にも逆転されており、商業地域としての魅力が下がっていることがうかがわれる。

近隣地域の、平成11年から平成26年までの推移を表にしてみると、かつて県央地域でダントツであった 厚木市の力が年とともに落ちてきて、海老名市が上向いてきていることが明瞭である。

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次回に続く。

首藤潤治