当会副理事長の日向氏に誘われ、私首藤も「青春18きっぷ」で東北地方を9月4日から6日まで駆け足で回ってきました。日向氏は「青春18きっぷ」活用歴約5年ということで初級者向けのコース設定をおまかせし、初挑戦することにしました。

【長距離バスで出発】
22時20分発の弘前行き夜行バスに乗車のため、新宿駅南口の「バスタ新宿」へ。長距離バスの発着所は、全国各地へ向かう乗客でごった返し、運行するバスも山手線並みの頻度で次々と発車していく。われわれのバスも定刻通り発車。席は満席とのこと。
席横3列で出発からしばらくして、早くも日向氏はいびきをかき始めた。バスの座席は身動きもならず、最適の睡眠姿勢を探して七転八倒。日向氏のいびきに焦るのみ。慣れない環境から寝もやらず、夢うつつの内に朝を迎えた。朝6時に岩手県のSAで休憩するが到着までまだ間がある。

【弘前到着】
7時40分、定刻通り弘前駅着。最初に乗車する五能線まで3時間ほどあるため、その間レンタル自転車を借りて弘前城見物へ。城は石垣が工事中で景観としては期待外れ。

弘前城の堀の木々は早くも紅葉

【五能線乗車】弘前~東能代
昼食用に津軽弁を買い、今回の旅のメインである五能線10:23発へ。鰺ヶ沢までは、リンゴ畑の中を岩木山を左手に臨み、鰺ヶ沢以降はバスツアーの観光客が途中乗降を繰り返す、日本海の海岸線沿いに走る人気のコースとなる。

海岸線を走る五能線

こちらは、深浦駅で降り海岸を散策。深浦は、マグロと海岸線、白神山地で有名な町であるが、メイン通りは商店も少なく殆ど人影もなく観光地という印象はない。駅に隣接している“釣り具屋兼スーパー”が唯一の商店となっているが、釣り具以外の商品はまばらな印象。深浦を後に、終点の東能代で奥羽本線に乗り換える。八郎潟付近では一面黄金色に輝く田んぼの中を一路秋田へ。

バスツアーの客がゾロゾロ降りる深浦駅


深浦駅ホームより海岸を望む

【秋田】
秋田では、前日のバス旅の睡眠不足のおかげで早めに就寝し熟睡。翌朝、日向氏は24時間営業のラーメン店で早朝から濃厚味のラーメンを食べに行く。

秋田 千秋公園(秋田藩主佐竹氏の居城跡)の大賀ハス

【仙台へ】
奥羽本線で秋田から新庄へ。秋田杉の美林が延々と車窓に。途中、大曲、横手といった有名な駅がある。新庄からは、「奥の細道湯けむりライン」の愛称がある陸羽東線で小牛田へ。ただし、途中駅の鳴子温泉での乗り換えが必要となる。小牛田で最後の各駅停車の旅となる東北本線に乗り換え仙台へ。

鳴子温泉駅にて、左は、新庄へ。右は、小牛田へ

2日間、各駅停車での旅で通常とは異なる体験ができました。
夜行バスでの長距離移動やタイミングよく乗り継ぎを行うためのハードなスケジュールをこなす体力が必要で、あと何年こういうことができるか、寿命との戦いという感があります。一方で、新幹線やバスではただ“移動”するという感じだったものが、各駅停車では“旅”の実感があり、手段を変えることで同じ目的地でも随分印象が違ってくるのだと感じました。
多分、各駅停車は地元の人が利用する交通手段であることや、駅の周りの商店の様子といった生活が感じられることで、見える景色が明らかに違うためではないかと思います。
皆さんも日向さんをコーチ役に新しい旅の方法を一度体験してみませんか?

文・写真:首藤 潤治